とりずんだノート

の日記帳

都市伝説解体センター
日を置いての感想

プロット状態でプレイさせないでほしい。
シナリオの方がどんでん返しと思って書いてるものは、ただの設定開示でありエンタメ性が乗っておらず、結果十数時間をかけてプレイした消費者のゲーム体験を全て徒労にしていると感じた。

グラフィックの外連味は素晴らしくて惚れ惚れしてるし、グラフィックの魅力のおかげで色気を感じているキャラもいるのだが、他の全てが虚無で、私と感性が似ている人にはなるべくプレイしてほしくないです。
この作品、人気出ると思います。でも気軽に友人に勧めて良いシナリオではないと思っています。

以下ネタバレがある。





他者の時間を消費させている自覚のないまさしくグレートリセットなラストに不快さを感じているうちに、ラストが良いらしいからこの情報量が薄い割に不快さはしっかり与えてくる各テキストにも我慢しよう…だってインディーズで有志が作ってんだから甘いのは当然だし多少の所は見逃さないと…グラフィックは最高だし…と耐えてた分の道中ストレスが上乗せ増幅されて、かなり苛立っている。

『センター長=あざみ=あゆみ=管理人』
は衝撃のラストではない。それは単に設定で骨子でしかないでしょう。
大体のエンタメは、そこから
キャラクターの掘り下げをするか、(渦中の人物の苦悩や葛藤、自己の再構築、周囲との衝突あるいは和解など。ポジティブ描写でなくてもいい、真実を受けて絶望に転がり落ちたり或いは停滞したりするのもキャラクターが深みを帯びてプレイヤーに満足を与えてくれるだろう)
キャラクター性を重視しない作品なら、詳細なトリックの開示で全ての筋が繋がるアハ体験的な気持ちよさを提供するとか、すると思うんですけど。

キャラ同士のシナリオとしてはネタ明かしでぶつ切り終了、後はエピローグのカットは見せるのでご想像にお任せします。
トリックとしては、あゆみは天才ハッカーでハッピー事件で資金源もあってジマーという手足も沢山いるからなんとかできるのでした。

しょうもなすぎる。

主軸の都市伝説解体センターのスタッフ三人の関係は盤面ひっくり返されて「再会したから何かあるかもね…!」で終わり、トリックも、プレイヤーが操作してるあざみは下位人格で無知なので主人格や副人格に気付きません、お金も信者もいてすごいのでなんとかしましたで終わりで、私はただ虚無を食わされてるだけでした。1〜5話全部(犯人の計画という意味でもそうだし、そもそも都市伝説を特定→解体するという単話の構造も)自作自演マッチポンプだし。道中が本当に退屈だったのに(グラフィックへの萌えはめちゃくちゃあったのに、その上で退屈だった)道中全部そのためにあった最終話もこんな有様とは。

なんか…せめてネタバラシの後、あゆみかあざみどっちかのキャラの掘り下げとかしないんですか。
あゆみ視点で何かしら独白があるとか、あざみがセンター長=管理人の真実に気付き葛藤する一方であゆみの存在は変わらず認知せずな振る舞いをさせてあざみのキャラを深くするとか。
あゆみもあざみも愛着としてはどうでもいいから個人的に欲しいとかいう話ではなくて、十数時間付き合わせてきたセンター長↔︎あざみ↔︎ジャスミンの関係が一変して、(まあ私はしらーっと愛着抱かず追ってたけども)普通なら三人に愛着が湧いてるであろうプレイヤーを裏切ってんだから、それに報いるだけのエンタメ性のある描写を提供するのではないかな、普通ならさ。
私には、関係リセットしただけのエンタメ性が提供されているとは思えませんでした。巷でクリア済みプレイヤーが悶えているけど、シナリオで衝撃を与えているんじゃなくて、ただリスキーな禁じ手を使ってキャラを好きになってくれたであろう人を裏切りフォローもせず傷つけているだけだと思います。

骨子のシナリオが悪くても、調べた時のテキストが楽しいとか操作の触り心地が気持ちいいとか物語の質が悪いなりにハッピーで収めようとするとかなら溜飲が下がったかもしれないが、
設定上あざみが故あって無知キャラだから物調べても無味無臭のコメント(顔文字連打のあらすじ説明だけは唯一面白みを感じた、まあ強制的に次話行くからタイミング逃すと見返せないんだが…)
ボタンを押す回数が頻回なのにいちいちテキスト送りにウェイトがかかりストレスのかかる仕様、
恣意的な露悪の抽出で無責任に乗っかる大衆ってクソですよね〜というアピールだけは強いテキスト。
ああそうだ…都市伝説Tipsも改行なくて読みづらい上にシカの冷笑的な語り口で元々の都市伝説の面白さを削いでて早々に見るのやめちゃって…。

私はゲームというインタラクティブ性の高いエンタメ媒体が大好きだ。
『ボタンを押す』というプレイヤーの介入の余地が思い入れを強め、物語の力を何倍にも増幅させる構造が大好きだ。
(ジャンルやボリュームによって何時間〜何百時間と幅はあれど)プレイヤーの人生の一部分を自分の作品に費やさせる事を自覚して、プレイヤーに対してメッセージを投げかけたり楽しませようと工夫を凝らし報酬を準備してくれるゲーム製作者のことを、プロアマ問わず尊敬している。

だからこそ、都市伝説解体センターをプレイして、エンタメ性の乗っていないただのちゃぶ台返しのラストを目の当たりにした時、『不誠実なシナリオだな』と感じた。十数時間の時間消費に応じた楽しい思い出(当然ながら、それは必ずしもポジティブでハッピーなシナリオを意味しない)が提供されず、虚無のゲームプレイ体験をしてしまった事に、強い失望を抱いています。

楽しく感動したゲームの感想は滞っているのに、(書きたいタイトル山積み)合わなかったゲームの悪口は感情に任せて書いてしまう自分にかなりガックリきている。
ただ…自分と同じような体験をする人がもう増えてほしくないので、今のうちに書かないといけないと思った。

これが今後、他のオモシロADVと肩を並べて一緒にオススメされるようになるの、嫌だなー。畳む


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